8月末にあった全国高校お笑い選手権「M―1甲子園」(吉本興業主催)で、私立明誠学院高3年井本成彦さん(18)、県立烏城高3年小野田寛之さん(17)=いずれも岡山市=の漫才コンビ「NON―STOP」が優勝し、全国から参加した465組の頂点に立った。次の目標は「M―1グランプリ」での上位進出。2人は「恥ずかしくない結果を」と意気込んでいる。
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優勝した井本さん(左)と小野田さん。息はぴったりだが、互いに相方のことを「変わってる」=岡山市内で |
「強盗だ、金を出せ」「何で武器がつまようじやねん」――。他を圧倒する勢いのしゃべりに、聴衆は思わず笑いを漏らす。決勝大会で披露したネタ「銀行強盗」はコンビ名の通り、約3分間息もつかせず展開する。
「僕らそんなに面白くないから、間を取って『シーン』となるのが嫌なんです」とツッコミ役の井本さん。優勝の感想は「何で僕らなんだろう」と、頭の中を疑問符がいくつも飛んだという。
コンビは中学3年の秋に結成した。井本さんが「M―1甲子園」のテレビ放送に触発され、クラスメートだった小野田さんをボケ役に誘って文化祭で初舞台を踏んだ。「客は身内ばかり。温かい反応に、『案外いけるんちゃうかな』って勘違いしました」
中学卒業後もコンビを続け、年に1、2回、市のホールでイベントなどに出演してきた。小野田さんが夜学に通うため、練習できるのはイベント直前のもっぱら深夜。場所は「声を張れるように」と、井本さんの家の軽自動車の中だ。
コンビ結成のきっかけになった「M―1甲子園」には2人とも思い入れが強かった。高1から挑戦を続け、3回目で初の決勝進出だった。大舞台の出番前、緊張する2人にオール巨人さんが声をかけてきた。「面白いもんは面白いんや」。その言葉に緊張がほぐれ、ふっきれたという。
優勝したとはいえ、決勝大会で全国の笑いのレベルの高さも実感した。「もうちょっとやれてもええなぁ」と、優勝で欲の出てきた小野田さん。井本さんは「終わりよければすべてよし! もうええわ」。2人ともプロを目指す気はないという。
だが、次は、歴代の優勝者が挑んでいる「M―1グランプリ」に挑戦する。プロ芸人を相手に、高校生チャンピオンとしての意地を見せようと、軽自動車の中での練習はもうしばらく続く。
asahi.comより引用